植物に関するコーナー(天然記念物)

ヒトツバタゴ

広葉高木林

落葉広葉樹のヒトツバタゴ(モクセイ科)。タゴ(トネリコの別名)は雌雄異種でふつう羽状の複葉であるが、ヒトツバタゴは単葉のため、この名があるといわれる。5〜6月頃に白い花をつける。樹高は約10mもあり、岐阜県蛭川村の和田川近くの雑木林に数本自生している。ヒトツバタゴは蛭川村のほかにも、犬山市、瑞浪市にも自生している。

ウツクシマツ 針葉高木林

常緑の針葉樹林は亜寒帯を代表する群落である。エゾマツ・ドドマツ林、コメツガ・シラビソ林などがある。写真は、平松のウツクシマツ自生地。アカマツの一種で、根元から枝分かれするのが特徴である。滋賀県。
鎌掛谷のホンシャクナゲ

低木の群落

低木の群落として、ここにまとめてある。常緑樹、落葉樹、針葉樹があり、林の中の低木まで含み、シャクナゲやソテツの群落、自生地などがあげられる。
写真は、鎌掛谷ホンシャクナゲ群落。海抜310m前後の渓谷に、真紅〜白の変化に富んだ美しい花を咲かせる。滋賀県。

根尾谷薄墨ザクラ

落葉広葉樹
サクラ、ウメ、ナシ等
ケヤキ、カツラ、ムク等
モミジ、トチノキ、ハナノキ等
イチョウ等

落葉広葉樹は、新緑、紅葉、落葉しての冬越しなど、季節によって見せる姿が異なる。秋に一斉に落葉してそのまま冬越しする。サクラやウメなど、花を愛でる種類も多い。

写真は根尾谷薄墨ザクラ。岐阜県。

薫蓋クス

常緑広葉樹

暖温帯から亜熱帯にかけて常緑広葉樹が成育している。落葉樹にくらべて葉が厚く、全体に寿命が長いといわれている。神社の境内などに巨大な樹木が多いのも、常緑広葉樹の特徴である。
写真は、薫蓋(くんがい)クス。大阪府。

熊野のヒダリマキガヤ

針葉樹
マツ、スギ等
イブキ、ビャクシン、カヤ等

写真は熊野のヒダリマキガヤ。材木が将棋盤などとして利用されるカヤ(イチイ科)の変種で、種皮にある溝が左巻きになっていることから、この名がついている。滋賀県。

常神のソテツ

常緑低木

この分類にはソテツが多く指定されている。その多くは、過去に移植されたものであろう。ソテツは裸子植物の中で熱帯から亜熱帯にかけて分布し、その一部は九州にまで及んでいる。
写真は、常神のソテツ。福井県。

熊野の長フジ

つる性樹木

つる性樹木の中では、フジが最も大きく成長する。指定されているものは、ノダフジの系統種であり、西日本に多く見られるヤマフジとはつるの巻き方が逆になっている。
写真は、熊野の長フジ。静岡県。

伊吹山のお花畑

高山や岩石地の植物群落

高山帯や岩場は、植物にとって極めて厳しい自然環境である。そんなの中で、指定された群落を紹介する。代表的なものに、白馬連山高山植物帯がある。
写真は、伊吹山のお花畑。滋賀県。

深泥池

沼・湿地の植物群落

沼や湿地は、数千年あるいは数万年もの時間を経ている環境である。この場所の植物群落は環境に敏感であり、保護の必要性が叫ばれている。写真は、深泥池水生植物群落の浮島。京都府。

海浜の植物群落

海岸は、砂の移動や大波があり、植物にとって安泰な場所ではない。海岸線に囲まれた日本ではあるが、特色ある海浜群落の残るところは数少ない。写真は、室戸岬亜熱帯性樹林および海岸植物群落(高知県)。

十二町潟オニバス発生地

湿地・樹林下・山地の植物

沼、湿地、草原などさまざまな特殊な環境の中で生育するものがある。その環境の保存に努めることが私たちの課題である。写真は、十二町潟オニバス発生地(富山県)。

オキチモズク自生地

シダ類・コケ類の自生地、藻類・細菌類の自生地

かつて気候が温暖な時代に反映したシダ類、湿った土地に生育するコケ類など、比較的簡単なつくりの生物が多い。
写真は、オキチモズク自生地(愛媛県)。

春日大社境内ナギ樹林

神社や寺の森

神社や寺の森は、自然を知る上で最も有力な手がかりになっている。よりよい状態で次代に残したいものである。
写真は、春日神社境内ナギ樹林(奈良県)。

春日山原始林

自然林

植樹によらない、自然のままの林を自然林(天然林)と呼び、古くから人手が加わっていない林を原生林(原始林)と呼んでいる。これらは学術上、保存が必要である。
写真は、奈良時代以前の暖帯林が手つかずで保存されているという春日山原始林(奈良県)。

竜野のカタシボ竹林

タケ

広く栽培されているタケはマダケとモウソウチクである。栽培中にあらわれた珍しいタケが指定されている。
写真は、竜野のカタシボ竹林(兵庫県)。