| 超巨大な仏教の宇宙観 「須弥山の世界」 仏教の世界観を考えるにまず「死後の世界」観をみると、仏教の根幹には、「輪廻転生」の思想があり、この世 のすべてのいきものは、死んだのち繰り返し生まれ変わり、転生するのは、この世で試練を受けて解脱する(悟 りの境地に達する)ためである。転生する世界は、天道・人道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道の「六道」であり 、もっもひどい悪事をはたらいた者は、「地獄行き」である。この六道のすべては、「須弥山世界」という巨大な宇 宙の一部とされている。 「須弥山世界」とは、三つの巨大な円筒(金輪・水輪・風輪)が蓮なって虚空(こくう)という空間に浮かんでいる。 円筒の高さは二百七十二万由旬で、金輪が三十二万由旬、水輪が八十万由旬、風輪が百六十万由旬であ。 金輪と水輪の境目を「金輪際(こんりんざい)」といい、絶対到達できないほどの深い地の底にあることから、「金 輪際、来ないで!」などに使われるになった。 金輪の直径は百二十万由旬で中央に「須弥山」の四角い山があり、その上空に「天道」があり、須弥山の周囲 には七つの山脈が取り巻き、その周囲には海があり、海に浮かぶ四つの大陸があり、私たち人間が住む「人道」 がある。動物や虫、魚が住む「畜生道」は、大陸と海の両方にあり、六道の残りの三つ「修羅道」「餓鬼道」「地獄 道」は、いずれも地下に存在し、「修羅道」は海底に、「餓鬼道」は南瞻部州(なんせんぶしゅう)という大陸の地下 五百由旬にある。「地獄道」はさらに下の地下Ⅰ千由旬にある。 仏教では、人間の悪行を殺生、偸盗(ちゅうとう)、邪淫(淫らな行為にふける)、飲酒、妄語(嘘をつく)、邪見(よこし まな見方をする)、犯持戒人(はんじかいじん)「尼僧や童女などを犯す」、五逆(父母ゃ聖人などを殺す)の八つに分 類される。それぞれの罪に応じて八つの地獄が「八大地獄」であり、「八熱地獄」ともいわれが、その隣には「八寒 地獄」もある。くわしくは源信の「往生要集」に記されている。 八熱地獄とは、1等活地獄、2黒縄地獄、3衆合地獄、4叫喚地獄、5大叫喚地獄、6焦熱地獄、7大焦熱地獄、8阿 鼻地獄の八つの地獄である。等活地獄から大焦熱地獄までの7つは縦横Ⅰ万由旬、高さ二千七百由旬の立方体 をなし、面積は十万キロメートルである。日本の三倍弱もあり、それが七層も重なり、加えて八つめの阿鼻地獄は 縦横八万由旬であり、他の地獄の八倍の面積を有している。八熱地獄全体では、小地獄の数が百三十にもなり、 大小合わせて百三十八もの地獄があることになる。これほどまでに地獄が細分化されているのは、それだけ人間 が罪深いということになのでしょう。  |
