1.雅楽の歴史

雅楽は最初に朝鮮の音楽が渡来し、ついで中国の音楽が伝来した。
飛鳥時代には三韓楽(新羅楽・百済楽・高麗楽)と呉の伎楽が伝来してきた。奈良時代に入って唐楽、度羅楽、渤海楽、林邑楽等が伝来した。
雅楽とは、俗学に対し「雅正の楽」の意味で、大宝元年(701)大宝令によって雅楽寮が創設され、所管した音楽と舞を指す。
天平勝宝四年(752)の東大寺の大仏開眼法要のときには、唐胡楽、唐中楽、唐散楽、伎楽、度羅楽、林邑楽、高麗楽等の外来楽とともに、大歌、楯伏舞など舞われた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　田中健次「日本音楽入門」より

四百年間にわたり大陸各国から大量の音楽が輸入され、音楽と楽器が煩雑化したため、大陸系音楽の整理と日本国風化の作業が行われた。八五〇年から半世紀にかけて「楽制改革」が行われた。
　第一は楽曲の整備統合、中国系と朝鮮系の左右二方向に分離統合した。右方は三韓の新羅・百済・高句麗楽に、現在は中国北東部地方である渤海楽を統合して「高句麗楽(狛楽)」とした。
左方は俗学・宴饗楽が混ざった唐楽に、東南アジア系の林邑楽を統合して「唐楽」とした。現在でも有名な「越天楽」はこの当時に日本で作られた新曲である。
　第二は複雑な楽器の整備で、重複で代行可能な楽器を廃止し、小規模構成「吹物(管楽器)」「弾物(弦楽器)」「打物(打楽器)」十四種類になりました。「和琴」「神楽笛」「笏拍子」以外は渡来楽器です。
管楽器(吹物)は篳篥・竜笛・高麗笛・神楽笛・笙に整備され、尺八・莫目(まくも)・大篳篥は廃止された。
弦楽器(弾物)は琵琶・箏・和琴(わごん)に整備され、五弦・くご・阮咸(げんかん)・新羅琴は廃止された。
打楽器(打物)は鞨鼓・鉦鼓・楽太鼓・大太鼓・笏拍子・三の鼓に整備され、方饗(ほうきょう)は廃止された。

　第三の改革は音楽理論・音楽構造の簡素化です。十二律調を「呂」と「律」に二分し、「六調子」に簡素化された。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　六調子に簡素化

になった。

2.雅楽の楽理

3. 雅楽の六調子

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　六調子

4.三管(笙・篳篥・竜笛)の音律