←JAC2453便

大阪国際空港(伊丹)からの直行便を利用したプランを利用しました。「一泊四日」という変則でしたが、民宿一泊の夕・朝食つきで一人31,400円は魅力でした。山中泊を予定しているので、残る一泊分は現地で追加料金を払うこととしました。なお、ストックを預けて、30リットルのザックを機内持ち込みにしようとしたのですが、小型万能ナイフが入っていたため、持ち込めませんでした。
お隣は種子島→

2月16日の朝に自宅を出発して、お昼には屋久島空港に到着しました。冬のこの時期は、関西から来ると天国です。念のために、軽アイゼン、目出し帽、携帯カイロなどを持参していますが、明日からの登山が暖かい縦走になることを期待しました。早速、レンタカーで島内を一周していると、お隣の種子島がすぐ近くに見えています。
←ヤクシカのお出迎え

屋久島を反時計回りにドライブしました。島の西側にある林道では、ヤクシカやヤクザルがお出迎えです。道端でくつろいでいる彼らを見ると、ついついブレーキをかけて、撮影モードに入ってしまいます。彼らも慣れたもので、多少近づいても逃げません。だから、道の真ん中に寝そべっているヤクザルがいると、そこから前に進めません。
大川(おおこ)の滝→

島内には規模の大きな滝があります。最初に立ち寄った滝は「大川の滝」です。88mの落差は豪快です。梅雨の時期なら、すごい水量だと予想されます。2月でも、近づくと水しぶきが顔にあたります。
←千尋(せんぴろ)の滝

カコウ岩の巨大な岩盤に面した滝で、その大きさは千人の人が手をつないだ大きさだと言われます。
トローキの滝→

千尋の滝の近くにあり、直接海に注ぐめずらしい滝だと言われる。道路工事のため、遠くからしか眺められなかった。
←淀川登山口

予約しておいたタクシーで、民宿を早朝に出発し、淀川登山口には6時に到着しました。民宿の朝食は弁当に替えてもらって、朝からちゃんと食べてきました。タクシー料金は、宮之浦の民宿から約1万円でしたが、この距離と時刻を考えると安いものでした。途中、紀元杉に立ち寄ったのですが、暗くてよく見えませんでした。これから、ヘッドランプを点けての縦走の開始です。約15kgの装備もそんなに苦痛になりませんでした。
登山道のようす→

今回のコースを決めるにあたっては、百名山の宮之浦岳登頂と縄文杉、そして白谷雲水峡の三つを目標としました。欲張りなコースです。そこで、まず淀川登山口を出発地と決めました。一日目に宮之浦岳に登り、新高塚小屋で宿泊し、翌朝に縄文杉を、そして最後に白谷雲水峡へ出るというルートです。
←道標が整備

階段や木道が整備されていますが、雨の多い屋久島では、木の根がたくさん出ているため、歩きにくく感じます。しかし道標が整備されているため、道に迷うこともなく、ペース配分もしやすくなっています。
この辺りのカコウ岩→

屋久島の大部分、特に中央部の山塊はカコウ岩という火成岩からできています。お隣の種子島との違いがここにあると思われます。この辺りのカコウ岩は、写真のような白い鉱物が目立っています。たぶん巨大な正長石でしょう。
←小花之江河(こはなのえごう)

高層湿原の小花之江河です。次の花之江河とともに、日本最南端の高層湿原だと言われています。温暖な九州にあって、気温が低いため、ミズゴケなどの植物が分解されないまま泥炭層ができている貴重な湿原だということです。
花之江河(はなのえごう)→

貴重な湿原を守るため、土砂が流入しないように階段を設置したり、木道が整備されたりしている。ここまでゆっくり歩いてきたが、まだ人の気配はなく、ヤクシカの姿とウグイスの鳴き声だけが聞こえていました。写真は、早朝の霧が濃くて、遠くまで見えていません。8時30分につきました。
←投石(なげし)平

時間がたつと、霧も晴れて、太陽が顔をのぞかせてきました。9時20分に投石平につきました。
ヤクシマシャクナゲ→

花の時期にきたらさぞ素晴らしいだろうと予想されるほど、辺りに石楠花が目立ちました。多くの花芽は、つぼみも大きくなっていましたが固いままです。
←名前はあるの?

栗生岳の鞍部にある奇岩。湧き水の多い屋久島ですが、宮之浦岳への最後になる水場がこの近くにあり、森林限界を超えたヤクザサの中に、この奇岩はよく目立っています。疲れた体に対して、一服の清涼剤になりえる水と奇岩です。
宮之浦岳→

12時に登頂です。途中休憩をふくめて、約6時間かかりました。標高1,936mで、九州の最高峰です。登山口からの標高差は約560mです。
←一等三角点

山頂には三角点が設置されています。さすがに九州の最高峰です。一等三角点です。最近は、これにタッチする癖がついてしまいました。
永田岳方面→

山頂から見た永田岳の山容です。月に35日雨が降る、という屋久島に来て、こんな天気は出来すぎです。明日は雨の予報ですが…。なお、頂上付近になって、はじめて3人の登山者と出会いました。彼らは元来た道を戻っていきました。これ以後、縄文杉を過ぎるまでは、誰にも出会いませんでした。
←森林限界線

ヤクシマザサの向こう側には木が目立っています。あの境界が森林限界でしょうか。
人面のような岩→

中央の大きな岩は、平石の岩屋近くにある覆面岩。人面のように見えるでしょうか。
←坊主岩

これも奇岩の一つです。数百メートルも手前から見える大きな岩ですが、袈裟と衣をつけた僧侶が右を向いて、頭を垂れているように見えますでしょうか。
新高塚小屋→

15時ちょうどに到着しました。中央はよく目立つヒメシャラの木です。明るいうちから、ウイスキーのお湯割りをちびちびやりながら、日暮れを待ちます。待ちきれなくて、レトルトカレーと棒ラーメンの夕食を開始しました。薄暗くなった頃に、ルームブーツを履いたままシュラフの中に潜り込みました。念のため携帯カイロは持参したのですが、心地よい疲れと酒の勢いで、朝まで爆睡でした。朝4時に強風の音に気づいて目覚めました。しっかり朝食を食べて、ついでに昼食のご飯だけを準備して、まだ薄暗い6時30分に小雨の中を出発です。
←縄文杉1

7時30分に到着です。小屋からは、ゴアの上下を着て、その上にポンチョを羽織ってきたのですが、暑くなってきたころに縄文杉につきました。ここへ到着するまでも巨大な杉が目についたのですが、縄文杉の巨大さは圧倒しています。せっかくのデジイチの広角レンズでも収まりません。
縄文杉2→

もっと正面から写真を撮りたかったのですが、観賞用のデッキの半分ほどが立入禁止になっていました。昭和41年に発見されたという杉です。早朝の誰もいない時間帯であり、自分の姿を入れた記念撮影をするのをわすれてしまいました。縄文杉の偉大さに我を忘れる一瞬でした。
←夫婦杉

縄文杉を過ぎるあたりは、急な木道(階段)になります。所々に複数の木道やコーナーがあり、そんな所に屋久杉が見つけられます。写真は、二本が枝によってつながった夫婦杉です。
大王杉→

夫婦杉のすぐ近くに大王杉があります。このあたりでは、雨は完全に止んでいました。
←ウイルソン株1

さらに急な下りになると、ウイルソン株です。9時10分に到着しました。大きな切り株の中に入ってみます。
ウイルソン株2→

中は大きな広間になっており、小さな祠がありました。天井は穴が開いており上を見上げると外が見えます。入り口のすぐ右手から見上げると、こんな風に見えました。ハート型に見えるでしょうか。
←トロッコ道

大株歩道入口からは、ご覧のようなトロッコ道を歩きます。木の根や岩の道に比べると歩きやすくなっていますが、単調な歩きで、これもまた疲れます。小1時間ほどで次の分岐に到着しました。その間、トロッコには出会いませんでした。
楠川分岐→

トロッコ道はここまでです。10時20分に楠川分岐に到着。小雨の中、カッパの上にポンチョを着こんで、ここで昼食にします。メニューは例によって、棒ラーメンです。朝に作っておいたご飯といっしょに食べました。ここからは標高979mの辻峠を越えて白谷雲水峡の方へ向かいます。辻峠では、今朝から吹き荒れている暴風のため、太鼓岩へは行けませんでした。
←白谷(しらたに)雲水峡

ここは、もののけ姫の森です。辻峠手前にある岩屋など、宮崎駿の「もののけ姫」の映像と重なってきます。これ以後は、カメラをザックの中にしまい込んでいたので写真はありません。13時50分にバス停についたのですが、50分の待ち時間です。荷物の片づけをしていたら、どっと疲れがでてきました。欲張った二日間でした。
帰ってきました→

最終日は、屋久杉自然館と屋久島世界遺産センターを見学しました。少しのおみやげをもって、JAC2450便で帰ってきました。気温差10℃は体にこたえます。ターミナルビルを出たとたんに、白い物が空を舞っていました。
持っていって重宝した装備
・ポンチョ(ザックの上から着用)
・ザックカバー(雨よけ)
・エアマット(床からの冷え防止)
・シュラフカバー(汚れ防止と暖房効果)
・ルームブーツ(これを履いてシュラフに潜り込む)
全く使わなかった装備
・アイゼン(沢は凍っていたが)
・滑り止めスパイク(ゴム製を新調したのに)
・目出し帽(暖かかったので)
・ゴーグル(そこそこの天気だったので)
・ツエルト(避難小屋泊ができたので)
屋久島(宮之浦岳、縄文杉、白谷雲水峡)の欲張りトレッキング
 冬場はシーズンオフのため安価で旅行に行けるのですが、九州最高峰の宮之浦岳では積雪が心配です。2月の17〜18日に縦走を試みました。冬山用の装備をいかに軽くコンパクトにパッキングするかも、悩みどころでした。