←薬師岳の圏谷群

北アルプスの薬師岳(2926m)に登ってきました。天候にも恵まれ、最大の目的であった「薬師岳の圏谷群」(カール)をしっかりこの目に焼きつけてきました。

有峰林道の料金所→

20:00に自宅を出発し、01:30に到着した。ゲートが開く06:00まで、車中で仮眠をとった。料金1,800円を支払い、折立に向かって出発。
←登山道入り口(折立)

ここには駐車場のほかに、キャンプ場もある。ここで標高は約1,350mある。07:00出発。携帯(softbank)は通じないので、これ以後、電源を切る。
入口の標識→

ここからスタートし、一泊二日で山頂をめざした。今まで何回かの登山を計画したが、キャンプは初めてである。おかげで、テント、シュラフ等の重い荷物を背負っての出発となった。特に重いと感じたのは、結果的に使わなかった水1.5kgである。太郎平小屋と薬師峠キャンプ場に豊富な水場があるとは考えもしなかった。
←十三重の塔

登山道に入ってすぐの所に、厳冬期の38豪雪による愛知大生遭難の慰霊碑が建てられていた。暫し黙祷し、登山の無事を祈った。
登山道のようす→

しばらくは、シラビソとブナの樹林帯の中を歩く。歩きにくい坂道で疲れた。景色が見えないことも疲れの一因だろうか。下山時には、このあたりのブッシュを刈払機で刈りとって下さっている一団に出会った。感謝、感謝。
←大木

登山道で見つけた大木。ここまで上がってきた時には、疲労困憊で、樹木の種類にまで気がいかなかった。おそらくシラビソ?
三角点と呼ばれる休憩所→

樹林帯を抜けると、三角点につく。写真には写っていないが、この左に三角点を示す石柱があった。ここで標高は約1,871mとなる。08:30到着。
←チングルマ

このあたりから、登山道で高山植物が数多く見られる。もっと標高の高い場所では、チングルマも花の状態であった。
このあたりの登山道→

丸太と丸太の間が登山道になっている。石ころだらけで、大変歩きにくい。外側にはネットが張られ、高山植物の回復を図っている。
←トーテムポール?

途中で見かけた標柱。積雪期にその深さを計測するとのこと。誰がこの地点まで計測しに来るのでしょうか?
ふり向けば有峰湖→

相変わらずの石畳の登山道。ふり向くと有峰湖が見え、景色が良いのが唯一の楽しみ。このあたりの緑はハイマツ帯。なお、このあたりで携帯(softbank)が通じたので、登山開始の旨を家族に連絡した。
←太郎平小屋

標高2,330mにある太郎平小屋は素通りした。缶ビールが目についたのですが、ここはぐっと我慢しました。11:30通過。
太郎兵衛平→

ここが薬師岳方面と雲ノ平方面との分岐になっている。私は左の木道を通った。
←薬師峠(テント場)

12:00着。今夜は露営。さっそく手頃な場所を見つけ、テント設営。シートとシュラフを準備し、昼寝の時間にしました。14:00頃、設営料500円の支払いを促す大声に目が覚め、夕食の準備にとりかかりました。500mℓのビールと五目ごはん、ホタテの缶詰、インスタントラーメンの豪華メニューでした。夕食後、ウイスキーの水割りを何杯か飲んで、17:00から03:00まで爆睡しました。水場とトイレが完備しており、結局、下界から持ってきた1.5ℓの水は調理器具の水洗いに使いました。
槍の遠望→

おにぎりとインスタントラーメンの朝食の後、サブザックの軽装で山頂をめざしました。05:00出発。熟睡と荷物の少なさに、疲れもそんなに残っていません。途中、遠方に「槍」の雄姿が見えていました。山頂からはもっとはっきり見えていました。
←所々に残る雪渓

薬師峠のキャンプ場から山頂までは、樹林帯、ガレ場、雪渓、木道などバラエティーに富んだコースとなる。
薬師岳山荘→

女将さんの話によると、登山道から離れているカールがあるため、二つのカールしか見えないとのことでした。
←山荘入口で見つけた記念碑

これを見るのが、今回の登山の目的でした。見つけられて感激。岩に張りつけた説明板もありました。
説明板→

特別天然記念物薬師岳の圏谷群    
薬師岳の山頂部の稜線東側に南稜カール・岩石氷河のある中央カール・S字状の堆積堤のある金作谷カールが2,600mから2700mの高さにならんでいる。この半椀状の圏谷群は洪積世(氷河時代)の氷河の作用で形成されたもので日本アルプスの圏谷の中でもっともその形態が見事な氷河遺跡である。
←最後の登り

山頂に向かう最後の上りは砂礫のルート。ただし、山頂直下は岩場のルート。
中央カール1→

山頂手前の稜線から中央カールを眺める。写真左手奥にもう一つの南稜カールがある。
←中央カール2

真下に向かって撮った中央カール。壮大の一語に尽きる。
薬師岳山頂→

標高2926m。山頂には薬師堂が建てられている。07:00到着。
←金作谷カール

山頂の薬師堂の向こう側には金作谷カールがある。残雪の模様から、氷河で削られた岩石の堆積の様子がよくわかる。
有峰湖方面→

360°の展望が開ける山頂からは、北アルプスの山々と自分の登ってきたルートが一望できる。この後、薬師峠のキャンプ場でテントを撤収し、下山した。折立の駐車場に着いたのは14:30であった。その後、高速をとばして、19:30に帰宅した。

    薬師岳登山(薬師岳の圏谷群)