今回の山行の目玉となるはずだった地蔵ヶ岳のシンボルオベリスク。「だった」というのは、時間の都合で、すぐ近くまでは行けなかったことによる。
ここは「夜叉神峠登山口」。この時点で、駐車場には、たった4台しか停まっていない。もう一日出発を遅らせたら、連休初日になり、ほぼ満車になるだろう。登山届けを出して、いざ出発。
ご覧のような明るいカラマツ林の登山道を、軽快に歩き出す。でもすぐに、テント、シュラフ等の装備がずっしり肩に食い込み、ペースダウン。
登山口から一時間ちょっとで、夜叉神峠に到着。65リットルのザックがパンパンに膨れあがっている。重いものは食料と飲み物。山小屋が開いていれば、少なくとも酒類は不要なのだが。出発前日には、営業しているかどうかわからなかった。
途中に山火事跡らしい明るい場所があり、写真のような鉄製モニュメントが設置されている。ここで暫しの休憩。このあたりの日陰には残雪があり、アイゼンが必要な場所もある。特に、杖立峠の先にある下り斜面は、完全に凍っており、危険である。、
さらに登ると、「苺(いちご)平」と呼ばれる鞍部に到着する。この辺りの積雪は多い。先ほどと同じモニュメントの先端部だけが見えている。
樹林帯を抜け、やっとの思いで、南御室小屋に到着した。テン場は雪で覆われているが、一部、雪のない所があり、500円を払ってそこを今夜の寝床にすることとした。今夜のテン場は、私も含めて、ソロテントがたったの二張り。小屋泊まりの登山者は、おそらく一人?。静かな雪中キャンプになりそうです。
水場も、ちゃんと掘り起こされており、青い水槽が設置されていた。これが本場の、南アルプスの天然水。これなら、2リットルもの水を担ぎ上げなくてもよかったのに…。
雪が降ってきたため、慌てて、上からスノーフライを被せた。だらしのない設営になってしまった。早いうちに荷物を軽くしなければ、という思いで、魚の缶詰をあけ、一人宴会を再開した。ビール、日本酒、ウイスキーと続き、気がついたら朝になっていた。外に忘れていたプラティパスは雪に埋もれ、中の水がカチカチに凍っていた。
翌朝、鳳凰三山を目指した。ぐっすり眠れたのと、サブザックの軽装だったおかげで、どんどん高度を稼ぐことができた。写真は、登山道にある「ガマの岩」。
森林限界をこえると、砂払岳だ。強風のため、頬に雪が当たって痛い。目出し帽をかぶって、前に進むことにした。これを越えると、薬師岳小屋がある。写真を撮るのを忘れてしまったが、そこは、まだ雪に埋もれていた。
この辺りからは、白峰三山の眺望がすばらしい。北岳の頂上も何とか見えた。
この辺りは、雪と白い砂の稜線を歩く。薬師岳からは、富士山も大きく見えている。
鳳凰三山最高峰の観音岳(2,840m)。山梨百名山の標識がある。ここからは、360度の展望で、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、八ヶ岳、そして富士山が見えている。
観音岳からは、すぐ近くに地蔵ヶ岳も見えている。時間の都合で、これ以上進めなかったが、シンボルのオベリスクも大きく見えた。テントを撤収し、下山にかかる頃になると、どんどん登山者が増えてきた。静かだった山行もこれで終わりになった。

鳳凰三山

仕事の予定と地域行事を考慮して、ゴールデンウイークに入る前日から行動することにした。行き先は、南アルプスにある薬師岳(2,780m)、観音岳(2,840m)、地蔵ヶ岳(2,764m)の鳳凰三山。「雪中」キャンプを想定し、かなりの重装備となってしまった。